CARPE DIEM～箱入り奴隷妻demiの小田切ジュン君鑑賞録～

ジュン君に恋をした当初は、出演者や業界の人がことあるごとに
「AVは、実は真面目な人たちが真面目に作っている」と言ったり、
「定期的に検査をしている（から大丈夫）」と判で押したように言うのを聞き、
それを全面的に信じることで、何とか自分を安心させようとしました。

でも、テロップやパッケージの中に普通にあふれている誤字や文法誤りを見てるとね・・・

無性に不安になるんです。

業界のほとんどの人は、気のいい、悪気のない人たちかもしれない。（そう思いたい。）
でも、いろいろなことにあまりにも無知な人たちなんじゃないかって。

もしかして、出演者や業界の人ってみんな、
「検査して陰性って出たら、今、その人はクリーン」って誤解してるんじゃないかって。

だから、「今クリーンな人」同士が生でフェラやクンニやセックスをしても大丈夫
って思って、平気で生中出しプレイをして（させて）るんじゃないかしら。

（そうなると不可解なのは、大丈夫な人同士のはずなのに、なぜ
「オーラルは生で、コンドームは入れる時だけ」という中途半端をする（させる）のか、
　ということですが、仮説として考えられるのは「女優がピルを飲んでいない」、つまり、
　あくまでも避妊を目的としたコンドーム使用という事でしょうか・・・
　そんな無自覚で無責任な女優がいるとしたら驚きですが・・・）

確かに「今クリーンな人同士なら何をしても大丈夫」っていうのは理論上は正しいんです。

でも、日常的に継続してセックスをしている人は
「今、陰性」＝「今、クリーン」ではなく、
「今、陰性」＝「3ヶ月前まではクリーン」なんです。だから、AV出演者は全員、
「今、クリーンな人」ではなく「3ヶ月前まではクリーンだった人」ということになります。
つまり、「ここ3ヶ月に関しては常にグレーゾーン」なんです。

それは、「感染していても検査で陽性にならない期間」があるから。
ウインドウピリオド、といわれるアレですね。
ほとんどの保健所は、B型肝炎やHIVや梅毒のウインドウピリオドを3ヶ月と設定しています。
他の性感染症のウインドウピリオドはだいたいそれより短いので、総合的に見て
「全ての検査で今、陰性なら、3ヶ月前まではクリーンだったと言える」わけです。

じゃあ、何をしても大丈夫な「今、クリーン」という状態はどうしたら作れるでしょう。

最低3ヶ月は他人との性交渉を一切断ち、検査をしてみて、全ての項目で陰性なら、
初めて「今、クリーン」と言えるわけです。

もしAV界が、「性的に完全な鎖国」であったら、何をしても大丈夫でしょう。
セックスをするメインの出演者になる人はもちろん、たとえ汁男優でも、
この業界に入るときは、必ず「3ヶ月禁欲」の後に全ての性感染症の検査を受け、
全ての項目で陰性でなければ仕事はもらえない、という絶対のルールが確立されるなら。
そして仕事をしている間はAV界以外の人と一切性交渉を持たないようにできるなら。
（もし外の人と一回でも性交渉を持ったら、その人はまた3ヶ月禁欲からやりなおしです。）
出演者とプライベートで真剣に付き合う人も、当然「3ヶ月禁欲」の後精密な検査を受け、
その後は相手への絶対の忠誠を守らなくてはいけません。

でもそれは、限りなく非現実的ですね。
他では一切していない、という言葉を物理的に証明するすべがない以上、
この「性的鎖国」は常に危うさを含んでいるのです。

この世には2種類の人間しかいません。それは、
「性感染症に感染していることがハッキリしている人」と、
「感染していないことがハッキリしない人」です。

たとえばわたくしについてはどうでしょうか。
17歳の時、現夫に処女を捧げて以来、夫としか性交しておりません。
結婚前には徹底的なブライダルチェックを行い、
3度の妊娠（うち2度目の妊娠は流産で終わりましたが）のたびに同様のチェックをして、
月経周期のゆれだした41歳の時もう子供は作らないと決め、
思う存分生中出しをするためにピルを飲みだすことにした時また同様のチェックをして、
それぞれで「クリーン」であることを確認しています。
しかし、その後はどうでしょうか。最後のチェックから何もせずに、もう５年が経っています。
相変わらず、わたくしが性交するのは夫だけですし、自覚できるような異常はどこにも見られま
せん。夫がわたくし以外の女性と性交渉を持ったという疑いを持てるような出来事も
ありませんでした。だからと言って、わたくしが、今の今「完全にクリーンだ」という
物理的な確証はないのです。日常的に夫を生でフェラして生で性交しているのですから。
夫を連日24時間見張っているわけでもない限り、
夫が外からの脅威をわたくしに何ももたらしていない、とは誰にも言い切れないのです。
自覚症状の現れない性感染症は多いですしね。
つまりわたくしは「クリーン」とは言い切れず、「グレーゾーン」にいるわけです。

わたくしは、セックスが好きです。厳密に言うなら、「愛する人とするセックス」が好きです。
セックスのない人生なんて考えられない。考えたくもない。
そして、「生」でするセックスが好きなのです。
どんなに薄い皮膜にもその人との間を隔てられたくない。
その人のあらゆる部位を思う存分直に舐めまくり、分泌物を嚥下したい。
それは防疫の観点からすると「危険極まりないセックス」です。
でも、わたくしは、好きな人から病気をもらって死ぬなら、それで一向にかまいません。
死因はどうあれ、わたくしたちは誰一人の例外なくいつか必ず死ぬのですから。
わたくしにとっては「愛する人と体で存分に愛し合う」ということが
生きる意味のほとんど全てです。
それを制限してまで生きる意味などない。
わたくしは相手を裏切らない。貞操とか道徳とかのご立派な問題じゃなくて、
単純に、生理的感情的に、他の人となんかしたくないからです。
たとえ相手がわたくし以外の女（または男）から病原体を仕入れてくるとしても、
わたくしで行き止まりです。他にはばら撒かない。それがわたくしの誇りです。

とはいえ、わたくしがうつる側になるのはかまわなくても、
愛する人に病をうつす側になることだけは、断固、断固避けたい。
病気は確実に、罹った人の生活の快適さを奪うからです。
もし新しいパートナーと新たな性生活を始めるようなことがあれば、
わたくしは必ず3ヶ月間禁欲し、精密な検査をして「全てにおいて陰性」
という結果を得てから、思う存分、体で愛し合うつもりです。
もちろん「生」で。


しかし、わたくしのようにのんきなことを言っていられない人々もいるでしょう。
AV出演者をはじめとするセックスワーカーたちです。
彼らは個人的な恋愛感情で特定の個人だけとセックスするのではなく、
仕事として、不特定多数の人と、毎日、休みなく、性交渉を持たねばなりません。
「うつってもいい」などと、おいそれと「愛に殉じる」わけにはいかないはずです。
だって彼等は「もらったが最後ある程度の人々にばら撒いてしまう」ことを
宿命付けられているのですから。

だったら、「危険はないだろう」と楽観せず
「危険なことになってもいい」と開き直らず、
「危険なことは十分起こりうる」と正しく覚悟した上で
「可能な限り全力で避けよう」という態度で行動するしかないでしょう。

このままでは何かあったら危ないとわかっていて、
でも今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫だろうと楽観して何の手も打たなかった結果を
わたくしたちはあの原発事故で学習したはずです。


「安全なセックス」について、真剣に考えたいと思います。

それは「感染者を疎外する」ためではありません。むしろ、

「感染してしまった人とどうしたらきちんと愛し合えるか」

という観点から、考えていきたいと思います。



次回、「安全なセックス」について、AVの普通プレイを通して具体的に考えてみます。